Jerrio’s Cafe ~ 気がつけば音楽が流れていた

 店主 Jerrio の四方山話と愛聴盤紹介。ジャンルの壁を越え、心に残った音楽について語ります。

僕が戻ったときに...

ジャズ・ギターの音色を、しっかりと認識したのはいつだっただろう。先日、ウェス・モンゴメリーのアルバムを聴きながら、そんなことを思った。思い当たったのは、学生時代。たまたま友人の部屋で聴いたジム・ホールの超人気盤 『Concierto』での演奏だった…

春の嵐

4月に入って最初の週末。遅れ馳せの桜でも観にいこうか、なんて思ってたんだけど、あいにくのこの天気。今年はどうも桜には縁が無さそうだ。 週末をすっぽり覆いそうな勢いの春の嵐は、先週の初め頃から予報されていた。2日後の天気だってあまり正確じゃな…

休眠打破

窓の外に穏やかに漂う空気、ふんわり包み込むやわらかい日差しは紛れもなく春のそれである。例年以上に寒い冬だと少し前まで思っていたのに、ニュースでは、この週末にも桜が満開だと連呼している。観測史上2番目の早さだそうだが、どうもピンとこない。紹…

In Your Own Sweet Way

昨年の12月5日、ジャズピアニストであり作曲家でもあったデイブ・ブルーベックの訃報が流れた。92歳になる前日の訃報だった。モダンジャズの草創期に活躍した人であり、その時代のジャズ・ミュージシャンとしては長命だったと言えるだろう。イメージは無いか…

冬の休日

寒い。とにかく寒い。昨日も今日も、朝一番は太陽の光がいっぱいだったので、ついだまされて窓を開けると、待ってましたとばかり強烈に冷たい外気が忍び込んできた。やがて太陽の光にも力が無くなり、気がつけば曇り空になっている。そんな中、綿雪がちらち…

カレンの歌声が聴きたい

カレンの歌声が聴きたい...そういう思いに駆られるときがある。その頻度は数年に1度というところだろうか。そのたびに僕は、カーペンターズの旧譜を1枚、また1枚と買い足してきた。 カレン・カーペンターの歌声は、僕にとっては精神の安定剤のようなも…

天井を見上げながら

先週月曜日の「成人の日」。「休日返上でミーティング」までは良かったんだけど、風邪の初期症状もあって、どうも調子が悪かった。僕はあまり熱の出る方じゃないのに、帰宅後測ると38度を越えていて、翌朝になっても熱は下がらず、筋肉や関節が痛くて全身だ…

フィンランドへの思い

フィンランドを訪ねてみたい。時々そんなことを思う。北欧の地に未だ足を踏み入れていないことが原因かもしれないが、それがノルウェイやスウェーデンではなく「フィンランド」なのは、恐らくシベリウスの故国を感じてみたいという思いが、僕の心の何処かに…

A HAPPY NEW YEAR

もう三が日も過ぎて、いまさらお正月がらみってのもどうかと思うけど...子供の頃、お正月の朝は一年の内で最も特別な時間だった。とはいっても、いつも目覚めは随分遅かった気がする。前夜の大晦日は夜更かしをしても怒られない唯一の夜で、いつも目をこ…

ポールのスタンダードジャズ

また一年が終わろうとしている。「今年も大変な一年だった」と毎年言っている気もするけど、それにしても厳しい年だった。そのドタバタの高揚をクールダウンするには、この休みでは少し短いかな。でもまたすぐにテイクオフをするわけで、あまりボケボケにな…

「戦メリ」はクリスマスソングなのか?

数年前、愛媛の実家に帰っていた時のこと、何かの流れからおふくろと昔話をしていて、僕の学生時代の思い出の品を詰め込んだダンボール箱が、一つ無くなってしまったことが非常に残念だった、という話になった。その時おふくろが、「あ、そうそう...」と…

Never Let Me Go

「わたしを離さないで」 原題 "Never Let Me Go"は、僕が初めて読んだカズオ・イシグロの小説だ。もう読んで4年近くたつが、今だにその内容を思うとき、どこか重苦しく落ち着かない、切なさも混じった独特の気分が戻ってくる。名作である。 静やかで抑制され…

ア・カペラの季節

12月は「ア・カペラ」に限る! なんだかいつも似たようなことを言っているような気もするけど、今日はこう言い切っておこう。「ア・カペラ」はクリスマスに向かう季節に良く似合うと思うんだけど、まあそれは「ア・カペラ」という言葉から、誰のどういう音楽…

先鋭の先にあるもの

11月も終盤を迎え、師走の後姿が見え始めた。ほんの少し前まではまだまだ暖かくて、本格的な紅葉シーズンの頃には一息つけるかな、なんて思ってたんだけど...そんな余裕なんて無いまま紅葉も真っ盛りを迎えたようで、この週末を越せば一気に冬の様相に変…

情熱のピアニズム

先週の日曜日、こればかりは観逃すわけにはいかないと、何とか無理やり隙間をつくって公開されたばかりの映画「情熱のピアニズム」を観にいった。骨形成不全症という病気のためにほとんど歩くこともできず、成人してからも身長は1メートルほどしかなかった…

とっても人間的なカーナビで奈良町へ

先週の日曜日のこと。前夜少し遅かったのだが、その日は朝8時にすっきり目が覚めた。決して朝早く、という意味ではなくて、僕にとってはこの時間まで寝られたって事がポイントだ。あまり大きな声では言えないんだけど、最近は前日遅くなっても、早朝ほぼ同…

エディ・コスタの思い

サッカーではなくて、野球の試合だったような気がする。恐らく前回のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)だったと思うんだけど、記憶は定かでない。観客席で観戦する子供達の集団を映し出した映像に、アナウンサーが「この子供たちは、エディ・コ…

一期一会だけじゃなく...

外は大嵐。台風が紀伊半島の東側を通過中だ。さすがに今回は、尖閣諸島から竹島方面に抜けるコースは遠慮して、うんと日本の中心に寄ってしまった。これは何かを表してる?なんて事はなくて、単にそういうシーズンが到来したって事で...しかし、まともに…

柚子胡椒でどて焼きを

今日は何故か柚子胡椒のお話。 いまやポピュラーな香辛料になってしまって、どこに行っても手に入るようになった柚子胡椒だが、ほんの十年ほど前まではここ大阪ではなかなか手に入らない貴重品だった。我が家では柚子胡椒の消費スピードが半端なく速いので、…

The Rest of Your Life

最近、友人のBさんが、今や人気・実力ともに5本の指に入るであろうジャズピアニスト、ブラッド・メルドーのライブに行ったと聞いて、あまりにもうらやましく、彼の音楽に出会った頃の話でもブログに書いて憂さ晴らしをしようかな、ジャズの話も書きたい頃…

ラスト・リゾート

どうしていつもこうなるんだろう、なんて思いながら、ひたすら溜まりに溜まった宿題を片付ける日々。子供の頃、夏休みの終盤はいつもこんな感じだった。あ~、こんなことなら、早いうちにちゃんとやっておけばよかった...毎回そんなことを思っていた気も…

タイムレス

疲れた~。車での帰省は走行距離にして約二千キロ。昨年は北海道旅行をしたので、帰省は四国のみで九州には帰らなかったが、今年は早くからどちらにも帰ることに決めていた。来年の今頃は、一人の子供は社会人になっているはずで、今度は僕たちが帰省される…

様々な音に溢れた驚きの島々

昨日は、土曜日だというのに朝5時前に目が覚めた。金曜日の夜は休日恒例の夜更かしをせず、さっと寝てしまったので、体が休日仕様にならなかったようだ。そういえば、ロンドンオリンピックの開会式があったな。観てみようかな、と少し頭痛気味の頭を起こし…

風に寄せて

しかし 僕は かへつて来た おまえのほとりに 草にかくれた小川よ またくりかへして おまへに言ふために だがけふだつて それはやさしいことなのだ と 今週の月曜日、梅雨明け直前の祝日の午後のこと。もうそろそろかな、と思わせるような日差しが少しずつ勢…

Calling you

先日あるお店で買い物をしている時、どこからともなく聞こえてきた4つのピアノの音にハッとした。メロディーではなく、ゆったりとした伴奏の4音。たったそれだけで、頭の中にはその後に続く音楽の世界がフワーッと拡がって、少し和らいだ気分になった。そ…

再会

昨日の土曜日、懐かしい人にお会いした。23歳で学生生活を終了し、今の会社に仕事の場を得て以来、十数年に渡って僕の直属の上司だったOさんだ。当時一緒に仕事をしていた2人の元同僚も含め、4人でお昼に待ち合わせをして、ゆっくりと会食をした。 16年ぶり…

少し早めのBARで

この時期にしてはめずらしい2つの台風の影響で大荒れだった一週間が過ぎて、昨日は梅雨の谷間のさわやかな一日だった。すっきり晴れるまでには至らなかったが、少し涼しめの乾燥した空気がとても心地よく、ゆったりとした気分で一日過ごせた。 こんな日の夕…

梅雨と紫陽花

朝から雨が降り続いている。梅雨の雨だ。一面雲に覆いつくされた梅雨空は、天文学者を絶望的な気分にさせ、農業関係者を喜ばせる。痛い雨、うれしい雨...かつて野球場で弁当を販売する業者の一喜一憂の話を聞いたことがあるが、敏感にならざるをえない職…

You've Got a Friend

一昨年の話。タワーレコードでいつものようにふらふらと店内を渡り歩いているとき、カントリー調のギターとピアノをバックに歌う男性ボーカルが静かに流れていることに気付いた。聴き覚えのあるいい声だけど誰だっけ、となんとなく思っていると、演奏が終わ…

穏やかな日々

穏やかな日差し。穏やかな風。半袖だと少し肌寒さを感じるが、日よけに軽く羽織ったシャツが肌に触れてもサラリと心地よく、暑さを感じるわけでもない。さわやかな気分で目を閉じ、まぶたの裏の光をぼんやり感じていれば、幾分初夏の香りを含んだ大気が鼻腔…