Jerrio’s Cafe ~ 気がつけば音楽が流れていた

 店主 Jerrio の四方山話と愛聴盤紹介。ジャンルの壁を越え、心に残った音楽について語ります。

大貫妙子は宇治茶に合うのだ

 昨日はいい天気だったので、久しぶりに宇治に行ってきた。もう十数年前、子供がまだ小さかった頃に訪れて以来だ。その時も車で行ったが、渋滞もあり自宅から2時間近くかかったと思う。今回は新しく全線開通した第二京阪道の側道を通るルートを使ってみた。正午前に出発して多少渋滞はあったものの1時間程で到着。帰りは夕方になり一般道が混んでいそうだったので、京滋バイパス第二京阪と高速を使って、なんと30分で家までたどり着いてしまった。便利になったものである。

 平等院世界遺産指定を受けて、整備は行き届いた印象だったが、まだ紅葉の時期には早く、人もそれほど多くなかった。平等院南門前の駐車場も待つこともなく利用でき、入って直ぐの鳳翔館では、今風の「見せる」展示で18種類の楽器を演奏する雲中供養菩薩像(全部で52体ある)を心ゆくまで眺めた。これらの楽器って、どんな音がしてたんだろう。興味は尽きない。

平等院鳳凰堂はいつ見ても落ち着くねぇ。

 10円玉で見慣れた平等院鳳凰堂。その前を抜けて、表門から逆向きに参道へ。そこここからこぼれてくるお茶の香りにつられ、お昼を食べたり、寄り道したりしながら参道を抜け、宇治橋を渡る。

 お茶でもしたいな~、と思っていたときに、”宇治茶道場「匠の館」”という喫茶店(?)が目の前に。緑の中から宇治川を臨む絶好の空間。いやぁ、ここはやっぱり宇治ですから、お茶するときはコーヒーじゃなくて宇治茶でしょう!ということで、文字通り「お茶」することにした。

 いくつかのコースがあるが、玉露コースを頼むと、日本茶インストラクターなる女性が現れ、懇切丁寧に一煎、二煎、三煎と付きっきりで教えてくれる。濃厚なうまみのエキスが出た一煎目には、口に入れた瞬間に驚いてしまった。これはお茶というよりスープだ。三煎目位からようやく飲み慣れたお茶の範囲に入ってくる。お茶を堪能した後は、開ききった茶葉にポン酢をかけていただく。満喫させていただきました。ごちそうさま。

 

 さて、今日の一枚は大貫妙子の 『Boucles d'oreilles』 (ブックル・ドレイユ)だ。これはフランス語で「イヤリング」を意味する。彼女のなんと26枚目!のオリジナルアルバムであり、購入した2008年、年間を通じて間違いなく一番よく聴いたアルバムだ。今回カーナビのハードディスクに入れてあったこのアルバムの音楽が、今の季節のこの風景にことのほかよく合うなぁ、と感じ入った次第。

 映画の主題歌 「Shall we dance?"」 で始まるこのアルバムは、彼女が定期的に行っているアコースティックコンサートのメンバーと共に、その時よく演奏する曲を改めて録音したセルフカバー集だ。弦楽四重奏コントラバスとピアノを加えた伴奏に乗せて、大貫妙子が丁寧に歌う。彼女の、どこかヨーロッパの香りを感じさせる独特な声とピュアで繊細な音楽世界は、室内楽的な響きと相性がいい。少し肌寒くなった秋の空気の中を、内側からほっこりと暖めてくれるような、味わいのある大人の音楽だ。

 穏やかな気分で、宇治茶を満喫し、大貫妙子を聴く。贅沢な秋の一日だった。

 

 

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