Jerrio’s Cafe ~ 気がつけば音楽が流れていた

 店主 Jerrio の四方山話と愛聴盤紹介。ジャンルの壁を越え、心に残った音楽について語ります。

道央の旅 (3) 「こぼれ話いろいろ」

◆ おいしくも残念な 「ガタタンラーメン」

 富良野や美瑛なら旭川空港からが近いのだが、予約時点で既に満席だったこともあり、便数も多い新千歳空港から入った。到着後レンタカーの手続きで出発は昼前。それでも2時間弱で、富良野まで行けるだろうと思っていたが...いやー、思ったより遠い。高速を走り最寄のインターで降りるも、そこからもなかなか着かない。カーナビの到着予測時刻は3時を大きく越えている。空腹を感じ始めたが、当のおなかは、富良野の美味しいもの...例えばチーズとかお肉とか、ワインも?...への期待で満ち溢れている。

 午後2時頃、芦別の「道の駅」に差し掛かった。ずっと休憩をとっていなかったので立ち寄ると、目に入ったのが「芦別名物・ガタタンラーメン」の看板。このまま富良野まで行っても、食事できるのは夕方だ。うーん、夜はもっと美味しいものを食べたいよねー!ということで、ここで軽くお昼を食べて夜に備えようと話はまとまった。

 もちろん食べたのは一押しの「ガタタンラーメン」だ。とろみのついたスープのかかったラーメンで、エビやホタテなど、新鮮な食材もたくさん入っていて、とても美味しいのだが...既に「富良野腹」になっていた僕たちは、少し納得いかない気分で、二人して「おいしいんだけどねー...ズルズル...残念だよねー。」とつぶやきながら、北海道で最初の残念な食事を言葉少なに摂取したのでした!

 実はこれで終わらない。帰りも同じシチュエーションで小樽まで急ぐ中、昼頃ここに差し掛かった。またまた休憩で立ち寄ったが、僕が冗談で「昼はガタタンにするかな?」というと、「えー?いや!」と即答。そりゃそうだよねー。ということで、この日はトイレだけ済ませてスピードアップで小樽まで。2時過ぎにはむちゃくちゃ美味しいお寿司にありつけたのでした!(ちなみに、夜は札幌にある日本初のビール工場だった開拓使麦酒醸造所跡地にある「サッポロファクトリー」のビアケラーで、これまたむちゃくちゃおいしいビールを飲んだことは...言うまでもない。)

 しかし、この芦別の道の駅。お昼に絶妙のシチュエーションだ。あー、今までどれだけの人が、このガタタンの魔の手に落ちたことか...(涙) 

道央3-図1 道央3-図2

 

◆ Soh’s Barで熊出没?

 前々回書いた喫茶店「森の時計」から、さらに2分ほど森の奥に入っていくと、「Soh’s Bar」 という石造りのバーがある。倉本聰がプロデュースしたバーで、入り口の看板にもある 「For miserable smokers」、すなわち「哀れな愛煙家のための」隠れ家的バーなのだ。愛煙家・倉本聰らしく、葉巻も各種そろえ、禁煙席は一切ないバーとのことだが、モクモクして困るということはないらしい。ノン・スモーカーの僕でも大丈夫なようだ。

 2日目の夜、「森の時計」を出た後、よーし、飲みにいこうぜぃ、と真っ暗な森をズンズン入って行った。すると...あかりがぽつんと灯り、ロープが張られて行き止まりになっている。そこに看板が。お~、熊!熊が出るんだって!撤収~!ということで、一旦部屋に戻り、フロントに連絡をして、なんと贅沢にも送り迎え付きと相成った。いやー、いい雰囲気でしたよー。しかし...熊って...

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風のガーデン

 富良野のホテルの敷地内に、これも倉本聰の2008年のドラマ「風のガーデン」の撮影のために2年をかけて造成された英国式ガーデンがある。それが再び整備され、今ちょうど公開されているということで、小樽に向けて出発の日、出発時間を遅らせて行ってみた。

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 このドラマも、録画してもらい観たのだが、色々な意味でいたたまれなくなるドラマで、敢えて一歩引いて観ていた気がする。公開の直前に緒方拳が亡くなり遺作となったのだが、その演技がかなり無理をしているように見え、痛々しかったことが一因だったのかもしれない。その役どころが、末期がんで亡くなる息子を、最後は家族として看取る富良野の訪問医の役。このドラマもやはり、父と息子の確執と和解がテーマで、もう一つのテーマが緩和医療である。倉本聰は恐らく知っていたのだと思うが、現実にガンに蝕まれていた緒方を、このテーマの中、温かな目で死に向き合いながら生かし続ける、という、彼なりの激励のシナリオだったのだろう。

 しかし、いたたまれなかった主因は恐らく別のところにある。主役の麻酔医を中井貴一が演じているが、僕もピッタリ当てはまる「ふぞろい」世代なので、彼ががんに侵され終幕を迎える姿は、どうしても身につまされた。さらにその立場上の様々な問題、そしてなんと「チェロを弾く」ところまで、見ているとどんどん自分に重ねてしまって、感情移入するのがこわくもあり、一歩引いていたように思う。人が最後に戻るべき場所。潔い部分と潔く行かない部分。それらの表現と示唆が、これだけ引いて観ていてもズンズンと胸に迫ってきて困った。

 それにしても素晴らしい庭だった。手入れも行き届いている。ドラマで出てきた建物や家具もそのままだし、ドラマよりもさらに臨場感があり、庭園の素晴らしさを実感できた。

 帰るとき、入り口のショップにあったシナリオ本に目が止まった。最後まで上滑りしてしまったこのドラマを、今度はシナリオでしっかり読んでみたい。そう思い、一緒にあったサウンドトラックのCDとともに購入。音楽の方は、「優しい時間」の音楽とともに、この旅を大いに盛り上げてくれた。いま、僕の本棚の最前列にこの本は立てられている。

 

 

<おまけ>

 お土産に買って帰った「じゃがポックル」。これおいしい!仕事場でも賞賛の嵐でした。ぜひ!

道央③-図11

 

 

<関連アルバム&Book>

 

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