Jerrio’s Cafe ~ 気がつけば音楽が流れていた

 店主 Jerrio の四方山話と愛聴盤紹介。ジャンルの壁を越え、心に残った音楽について語ります。

闇の中の光

 

2011年3月11日は歴史的な日になってしまった。

今日は13日。朝から暖かな日差しが降り注いでいる。

一昨日から起こっていることが嘘のような穏やかな日だ。

しかし、気分はどこまでも重く、落着かない。

 

自然は時にやさしく、時に厳しい。

人はその恩恵を受け、自然と折り合いをつけながら生きる。

しかし、時に自然は大きく牙を剥く。

それは自然の持つ本質的な調整作用だとしても、

人はその営みに成すすべも無く翻弄される。

 

なんと無力なのだろうと思う。

この高度に文明化された現代においても、こうだ。

結局のところ、最後に人に残るものは、

悠久の彼方から連綿と続く、生身の「人」としての「絆」だけなのだろう。

それさえも無残に引き裂かれるのを見ると、いたたまれなくなる。

 

遠く離れた地だが、他人事とは思えない。

僕達にできることからやっていきたいと強く思う。

 

 

考えてみると、一昨日から音楽らしきものを耳にしていない。

テレビでも一切流れない。

喫緊のリアルな現状の中では、残念ながら音楽は不必要なのだ。

 

しかしその嵐を抜けた「人」には、たくましい生命力が宿っている。

その先を目指す思いの中で、音楽や歌は大きな意味を持つのだろう。

 

 

からだが強張っている。

長時間、映像を眺めていたので、ずっと力が入っていたようだ。

ふっ、と力を抜いて、久々に何か聴こうと思った。

でも、今どんな音楽でもいい、とはならない。

少し考えて、坂本龍一のピアノソロアルバム 『BTTB』(International盤)を手に取る。

静かな部屋に、小さめの音で音楽をかける。

目を閉じ、椅子に体を沈める。

 

「Energy Flow」から始まるピアノの音が

じわじわと細胞のひとつひとつに染みわたっていく...

 

「Put Your Hands Up」は、かつて「筑紫哲也ニュース23」のテーマだった。

その音楽の中で、救出や再会の光景を思い出しながら、少しうつろな頭で思う。

筑紫さんがこの光景を見たら、どのように報道し、何をコメントしただろう...

 

 

眠っていたのだろうか、CDがほぼ終盤になっていた。

14曲目「Aqua」が静かに流れている。

この穏やかな、希望に満ちた音楽を聴きながら、少し軽くなった気分に気付いた。

 

被災地はまだまだ不安な闇の中にある。

しかしその先にある光だけは失わないでいて欲しい、と強く願うばかりだ。

 

 

 

 *** ここに紹介の 『BTTB』 は International盤で、国内盤とは曲目が違います。

   特に最初に紹介した2曲は国内盤では 『BTTB』 ではなく、

   『ウラBTTB』 に入ってます。

Bttb

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