Jerrio’s Cafe ~ 気がつけば音楽が流れていた

 店主 Jerrio の四方山話と愛聴盤紹介。ジャンルの壁を越え、心に残った音楽について語ります。

On the Radio

福岡での学生時代、大学の1年か2年の時の話だ。一講目の授業が終わった10時過ぎ、友人のY君と話をしていて、今から映画を観に行こう、という事になった。彼が以前から観たいと言っていた映画「フォクシー・レディ」が、たまたま福岡・天神の「センターシネ…

Fairly Tale

ここのところどんどん気温が下がってきて、一ヶ月くらい前に戻ったみたいだ。大陸から季節外れの寒気が下りてきたことによる突風や竜巻の被害が連日世間を賑わせてきたが、僕のまわりにもこの連休明け早々の気候変調に対応しきれず、おなかをこわしたり風邪…

yanokami は終わらない

ここのところ、昨年末に発売された、yanokamiのセカンドアルバムにして最終作、『遠くは近い』 をよく聴く。そしてそのたびに、この続きが聴けなくなってしまったこと、この音楽の発展形が永遠に消失してしまったことを、あまりにも残念に思うのだ。 天才は…

ベイルートにはまる

昨年の秋、ある雑誌でベイルートの新作 『The Rip Tide』 の簡単な紹介を読んで、非常に興味をそそられた。実はもう随分長い間、海外発のバンド・ミュージックにがっかりすることが多くなっていて(僕自身の嗜好の問題なのですが...)、頻繁に足を運んで…

散りゆく桜の下で

今年は満開のこぼれるような桜をぜひ見にいきたいと思っていた。若い頃は、純粋に桜を見るために出かけたいなんて思うことはあまりなかったんだけど...何故か人は年齢と共に花や木を愛でるようになるものらしい。 これまであまり見たこともなかった開花予…

冬来たりなば...

「春」がなかなか来てくれない。いつまでもコートが手放せないし、暖房だってつけっぱなしだ。時々少しだけ顔を覗かせたりもするんだけど、恥ずかしそうにこちらの様子をうかがっては、さっとまた扉を閉じてしまう。いくらなんでも、もうすぐ4月って時にそ…

フラメンコ・フラメンコ

先週の日曜日、ある友人の推奨映画である、スペインの名匠カルロス・サウラ監督の「フラメンコ・フラメンコ」を観に行った。フラメンコといえば「フラメンコギターに合わせ、ドレスを着た女の人がカスタネットを鳴らし踊る」という、恐ろしく画一的なイメー…

永遠のメロディー

ここのところ送別会やら何やらで、飲んで帰る機会が増えている。昨日もお気に入りのお店で少人数での同僚の送別会を催した。今日は朝から歯の治療を予約していたこともあり、飲む方はちょっとセーブ気味だったが、食べる方はいつものように最高においしくて…

忘れることのない記憶

今日は3月11日。あの日からもう1年になる。地震の起こった午後2時46分から数時間の間に、2万人近くの人が命を落とし、悲痛の内に暮れた一日だった。 先週から一週間、テレビでも様々な映像が流されている。改めて、この災害の甚大さと深刻さ、さらに…

海を見ていた午後

先日、録画してもらっていたNHKの「SONGS」で、かつて赤い鳥やハイ・ファイ・セットで活躍し、今もソロで歌い続けている山本潤子の特集を見た。 ハイ・ファイ・セットは僕の中高生時代に「卒業写真」や「フィーリング」が大ヒットしたので、同世代にはその透…

INSIDE

最近、少しばかり気分が下降気味。繁忙感が緩和されてくると、よく直面する傾向なんだけど、例に漏れずやっぱり来た。決して仕事人間でもないのに、もっと時間ほしいなー、なんて思っているうちが花ってことなのかな。 ハイどうぞ、と少しばかり時間が与えら…

大地に海に響く歌声

このコンサートには絶対行かなきゃ。なにがなんでも行かなきゃ。そう思っていた。開催はラッキーなことに金曜日。緊急を要する案件さえなければ、何とかなるだろう。そう踏んで、今月に入って周りにはジャブ打ちを始めた。「17日は夕方消えるのでよろしく。…

雪のための50の言葉

超個性的な天才フィメール。音楽の世界に時折出現する、少し妖しいオーラを放つ彼女たちは、若くして絶対的な独自の世界を確立する。 彼女たちが天賦の才を受けていることは、誰もが認めるのだろうが、その極めて個性的な世界ゆえに、好きか嫌いかに、はっき…

デュオの要諦

「あの時代の小学生の女の子で、ピンク・レディーを歌って踊るという経験をしなかった人はいまい。」 昨日の日経新聞の一面コラム「春秋」は、エッセイスト・酒井順子の「携帯の無い青春」からのこの一文を引用し、一昨日の注目すべき裁判の判決を取り上げて…

シレンシオ ~静寂~

寒い日が続いていても雪は降らない。近畿北部は大雪のようだし、関東でも積もっているというのに、ここ大阪に雪の気配はない。でもこの調子だと二月には一度くらい積もりそうな予感がある。待ち遠しい気もするが、少し困った気分にもなる。 雪の世界は静寂の…

ラプソディー・イン・ブルー

今週、11日の水曜日。朝、何気なく新聞の社会欄を見ていると、最下段の訃報のところに、ひっそりと見覚えのある名前が記されていた。アレクシス・ワイセンベルク氏。フランスのピアニストで、8日スイス・ルガノの医療施設で死去。享年82。死因は不明だが、約…

名前はアートなのに...

お正月もあっという間に過ぎた。5日には仕事始め。気がつけば七草の節句も終わっている。今年もまた、あまりお正月らしくない気分で過ごしてしまった。 何故なんだろう。普通にお節料理も用意して、大好きな数の子も食べ、日頃あまり飲まない日本酒を日の明…

2011年、今年の一枚は?

いよいよ大晦日。この一年は本当に様々なことがあった。通常なら一年の終わりの数日間は、その年の総括のようなことが色々行われるのだが、今年はとてもそういう風にならない。一旦終わって総括、とはいかないのだ。様々なことが今なお続いている。今も立ち…

アヴェ・マリア

明日はクリスマス・イブ。そういえば、今年はあまりクリスマス・アルバムを聴いていない。いつもは12月になると、新しく手に入れたその手のアルバムや、かつてのお気に入りをひっぱり出してきて流すのだが... 東日本大震災を筆頭に、今年は本当に色々なこ…

「すごい」アルバムに出逢いたい

暮れも押し迫ってきた。来週はクリスマス。この時期はやらなきゃならないことがいっぱいあって気持ちも焦り気味になるのだが、まだ何も手をつけられていない。年末年始をどうするのかも決めていなければ、年賀状も書けていない。仕事だって、とても一年を締…

感傷的な、あまりに感傷的な

感傷的、英語で言うと"sentimental"という言葉を冠した音楽はたくさんあるが、「感傷的な音楽」と言われて直ぐに頭に浮かぶのは、映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の音楽だ。「ニュー・シネマ・パラダイス」は1989年カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞…

読書の秋、「錦繍」の秋

「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すらできないことでした。」 蔵王、ダリア園、ドッコ沼、ゴンドラという4つの濁音で始まる名称が呼応し合い、少し毒々しいくらいに鮮やかな錦織…

ベネチアの小泉今日子

最近、ベッドに横になるとそのまま眠ってしまうパターンが続いているのだが、普段は枕元に、一編ごとが短めのエッセイ集を用意していて、少し余裕があるときはベッドの上で毎晩少しずつ読んで眠るようにしている。この眠る前に読もうと思うか思わないかが、…

ピアソラが残したもの

「この音楽は、ずっと前から聴いていた気がする...」 そんなはずはないのだが、初めてアストル・ピアソラの音楽にふれたとき、そう思った。昔から知っていたように懐かしく、それでいてとても新しい感覚の音楽。第一印象は「バッハのようだ」。最初からア…

Autumn Leaves に ときめく

先週は、まさに「秋~!」というような気持ちのよい天候が続いた・・・らしい。「らしい」ってなんやねん、と突っ込まれそうだが、太陽の出ている間、ほとんど外に出ていないのだから仕方がない。(まあ、囚人並みの生活、とでも言いましょうか...)でも…

さよならの言葉

「さよならの言葉」という曲をご存知だろうか。1977年の第13回ヤマハポピュラーソングコンテストでグランプリを獲った曲である。この曲を作り歌ったのは小野香代子。彼女はその後すぐに海外に留学してしまい、レコードを出すことも、プロになることも無かっ…

心待ちにしてました!

先週、「フェルメールからのラブレター展」を観に行った帰り、四条・南座前の柱に、5月7日の僕のブログでも紹介した写真家、エリオット・アーウィットの作品展のポスターが貼ってあった。場所は、何必館(かひつかん)・京都現代美術館という、この四条通り…

フェルメール 秋の夜長に ポール・サイモン

昨日は、久しぶりに京都に出た。京都市美術館で開催されている「フェルメールからのラブレター展」を観るためだ。 いつもの同行者 (あ、うちの奥さんです) は午前中、大阪・梅田で所用があり、1時前には終わるとのことだったので、その後京都で落ち合い、…

ブログ一周年 そしてビル・エヴァンス

昨日、9月18日はこのブログをスタートして、ちょうど1年目。記念すべき日だった。たかが一年で何を大げさな、と思われるかもしれないが、この飽きっぽい僕にとって、未だ続いているというこの事実は一大事なのである (自分で言うのもなんですが...)。し…

「9.11」と「3.11」

2011年9月11日。今日は二つの大きな出来事を思う日だ。 一つは10年前の9.11。世界を震撼させ、21世紀最初の年を暗雲の中へと導いた事件。あのアメリカで同時多発テロが発生した日から、もう10年...そんなにもなるのだ。 僕はその頃、公…