Jerrio’s Cafe ~ 気がつけば音楽が流れていた

 店主 Jerrio の四方山話と愛聴盤紹介。ジャンルの壁を越え、心に残った音楽について語ります。

道央の旅 (3) 「こぼれ話いろいろ」

◆ おいしくも残念な 「ガタタンラーメン」 富良野や美瑛なら旭川空港からが近いのだが、予約時点で既に満席だったこともあり、便数も多い新千歳空港から入った。到着後レンタカーの手続きで出発は昼前。それでも2時間弱で、富良野まで行けるだろうと思ってい…

道央の旅 (2) 「花と木と丘と」

夏の北海道は、期待にたがわず、美しく、美味しく、爽快だった。旅行の少し前は大阪でも多少涼しくはなっていたので、気温差に驚くようなことは無かったが、この体感する気分の違いは、恐らく湿度の差と、空気の成分の違いによるのだろう。(要するに空気が…

道央の旅 (1) 「森の時計」

8月も残すところ数日となった。子供の頃だと手付かずの宿題の山を前に途方にくれている時期だ。今年の夏季休暇はお盆に重なる1週間余りだったが、前半は愛媛の実家に車で帰省、後半「初めての」北海道旅行へと、西へ北へ慌しい日々を過ごした。 北海道に行…

妖しく魅力的なボサノバ

夏はボサノバに限る、などと言っておきながら、ぜんぜんボサノバなんて出てこないじゃないか。え?そこのところ、一体どうなっているのだ! ドン! とまあ、了見のやや狭いご忠告にお応えし、僕の机の横にうずたかく積みあげられている、直近聴き散らかした…

誤解だったのですね!

暑いんだかなんだかよくわからない7月が過ぎようとしている。変な夏だが...やっぱり暑い! 先週の金曜日に行ったスペイン居酒屋も「熱かった」が、前回ブログで書いたボビー・コールドウェルからの連想もあって、ほぼ同時期に流行った「暑いダンスフロア…

オリジナル盤とベスト盤の微妙な関係

ここ数日、冷房なしで過ごせる日が続いている。関西では、肌寒いというほどでもないが、台風が熱気までも引き連れていってくれたかのように、気温も湿度も快適に保たれている。今日も朝からさわやかな風を肌に感じながら、いい気分で目覚めることができた。…

月を見ている

月を見ている。 白熱球のように白っぽく輝く満ちた月が、静かな空に頼りなく置かれている。 その明るさに星は存在感を押さえられ、月はますます孤独に輝く。 どこからか薄い雲が忍び寄り月を隠そうとする。しかし今日の月にそんなものは通用しない。何も無か…

マッコイ・タイナーのピアノが連れてきたもの

どの季節が好き? こんな質問をかつてはよくしたし、された気がする。なぜかこの質問をするときは、相手は恐らくこう答えるだろうと予測していることが多かった。4つの季節は、人の印象と結び付けやすく、その答えを聞いて、「やっぱり?」とか、「意外!」…

コルトレーンはお好き?

ジョン・コルトレーンのアルバム 『バラード』 を聴く時はいつも、陽の降り注ぐ大窓のある明るめのジャズ喫茶で、冷めかけたコーヒーを前に片肘をつき耳を傾けている気分になる。そこには幾分抑え気味の話し声が響き、時折コーヒーカップとソーサーの発する…

即効性・元気が出るCD

いつかこのタイトルでアルバム紹介をしようと思いながら時機を逸していたが、最近様々な面で絶不調。いよいよ特効薬的CDを休日の目覚めに一発かけて、自然にみなぎる力に任せ、全てを忘れて飛び起き、頭も体も活性化させる時なのかも。ただしこの効能は超個…

雨とボサノバ

朝から梅雨らしい雨が降っている。目覚めとともに少しずつ覚醒していく耳の神経にわずかではあるが連続的な音圧を感じる。弱いホワイトノイズのような雨音のベールを剥ぎ取り、まだ少し疲労感の残った体を無理やり起こす。少し汗ばんでいるのだろうか。もう…

京都・美山を訪ねる

先週木曜日の夜の話。帰宅した後、「明日は歓迎会だから電車で行く」と、うちの奥さんに伝えていた。その後、深夜にも関わらず玄関を開け閉めする気配が...寝る前に、「どうしたの?」と聞くと、カーナビに行き先入力をしてきた、という。何を?「京都の…

雨の街を

雨が降っている。台風が近づいてはいるのだが、まだ穏やかな降り方だ。昨晩は土曜日だというのに深夜まで仕事でばたばたして、ようやくの休日。この調子だと今日は出かけられそうもない。ゆったりと本を読み、音楽を聴くには最高のコンディションだ。 「雨」…

ゴルトベルク三昧

先週の月曜日、きちんと合わせたはずの目覚まし時計が真夜中に突然鳴って起こされて以来、必ず一度夜中に目が覚めてしまう日が続いている。寝入って2時間半から3時間程度。少し心臓もどきどきしていて、再度眠るのに多少時間がかかるので睡眠不足気味だ。…

サウダーデの心

「サウダーデ(Saudade)」というポルトガル語をご存知だろうか。ブラジルでの方言「サウダージ」が楽曲のタイトルとして使われたりしているので、「知ってる」という人も多いだろう。このポルトガル語の意味を正確に表す日本語は無いと言われている。強いて…

やっぱりジャケットって重要です!

ゴールデンウィークもほぼ終わり、少しずつ気分を戻すべく、大量にたまった仕事メールなどを処理しつつ、ぽつぽつとリハビリを開始している。 今年は最後まで予定を立てる気分にならない休みだった。途中いろいろ考えたが、結局近場に出かけただけになってし…

清水界隈を歩く

一昨日、天気もよさそうだったので、散歩がてら京都に足を伸ばした。最近、通勤も8割がた車を使うようになって、運動不足も甚だしい。何か定期的に体を動かせればいいのだろうけど、その時間も取れそうにない。せめて趣味と実益を兼ねて散歩するくらいかな、…

酒とバラ(?)の日々

最近の本格焼酎(乙種焼酎)の、ブームを超えた拡がりには、ただただ驚くばかりだ。今でこそ、ここ大阪でも芋焼酎や麦焼酎なんてめずらしくはないが、バブル華やかなりし頃、それを飲むことのできるお店を探すのは一苦労だった。条件は、芋か麦の焼酎が常備…

ハナレグミは「離れ組」

今日紹介の一枚は、ハナレグミの 『あいのわ』 だ。このアルバムについては、3月12日、13日あたりで紹介しようと思っていた。その前週、「サヨナラCOLOR」について書いたのだが、そこではハナレグミやその音楽についてはほとんど書けず、消化不良気味...…

誠実さと好奇心と

もう何年も前から、ほとんど夢を見ない。平日はキュッとコンパクトに眠っているので、夢を見ている暇がない、ということかもしれない。では休日は? というと、やはり年齢とともに惰眠を貪れなくなってきたので、夢の量は相当減った。 10年ほど前に親父が急…

チャイコフスキーを聴く

チャイコフスキーの交響曲第5番を聴いている。先週に引き続き2度目だ。思えば震災後、体の受け付ける音楽が極端に限定されている。日頃、全方位型の聴き方をしているので、一時的ではあるにしてもその嗜好の変異から、気持ちの底に沈殿しているものの厚さ…

闇の中の光

2011年3月11日は歴史的な日になってしまった。 今日は13日。朝から暖かな日差しが降り注いでいる。 一昨日から起こっていることが嘘のような穏やかな日だ。 しかし、気分はどこまでも重く、落着かない。 自然は時にやさしく、時に厳しい。 人はその…

サヨナラからはじまること

いよいよ3月。外気はまだまだ冷たいが、今日は日差しが暖かい。卒業シーズンの到来だ。「卒業」といえば、一昨年の夏、卒業30周年ということで開催された高校の同窓会に出席した。450名ほどいた同期生全員が対象の同窓会だった。かつては「同窓会になんか出…

Reflection Eternal

あなたの音楽にはじめて触れたのはいつのことだろう。あるいはその前から出会っていたのかもしれない。当時の僕は仕事を通してもどこかであなたとつながっていたはずだ。 『Modal Soul』 。このアルバムが僕の手元に落着き、初めてあなたを認識した。たぶん…

Like a Star

最近、CDショップや音楽雑誌で「女子ジャズ」という言葉が目に付く。偏狭な「おやじジャズ」と対比すると面白く、ちょっと商業主義っぽいけれど、裾野拡大という点では歓迎すべき傾向だと思う。 そういえば昨年のこと。会社の宴会で参加者のキャンセルが出た…

初心者チェロ弾き、夢のつづき

朝起きると本降りの雪。リビングから見下ろせるマンションのパティオも、芝生の部分は既に一面真っ白になっていた。大阪での積雪は3年ぶりとのことだ。 外では朝から子供たちの声がする。見ると白く滑らかだった雪面に、点々と足跡がつき始めている。時間が…

どうして僕はいかなかったんだろう...

「ノラや」という内田百閒の随筆がある。百閒先生特有のちょっととぼけた文章で綴られる味わい深い連作集は、愛猫ノラとの出会いから始まる。その後ノラの失踪による捜索と落胆のどたばた劇、胸ふさがれるような悲痛な思いが、少し「おかしみ」を感じさせる…

草食系チェットがボサノバを生んだ?

「草食男子」なんて言葉を聞くと、ヤギがもぐもぐ草を食んでいる映像が頭に浮かんできて、つい「肉食えよ、肉!」なんて、茶々を入れたくなってしまう。 中性的とも言われるチェット・ベーカーの声は、今風に言えば草食系だ。決してがんばらない、アンニュイ…

「ルーシー・リー展」に想う

昨日、ルーシー・リー展に行ってきた。場所は中之島の中央公会堂前にある大阪市立東洋陶磁美術館。ひとりの陶芸家の展覧会のために出かけるのは初めてだった。特に陶芸に傾注しているわけではないのだが、以前たまたま目にしたルーシー・リー(1902-1995)を…

やさしく歌い続けて!

先日、懐かしいアルバムをデジタルリマスター版のCDで買いなおした。中学生の頃、ネスカフェのCMで流れていたその曲は印象的だった。歌謡曲全盛の時代。テレビから流れてくるのは日本の流行歌ばかりだったので、僕は、その短いながらも心引かれるメロデ…